前回のノイジャーナルでは、ヨーロッパ見本市で各社が商談スペースにこだわる背景についてお話しました。
そこで今回は、これまでヨーロッパ見本市において、これまでたくさんのブースを見てきた私たちが思う「ヨーロッパ見本市のこだわりの商談スペースの特徴」について、実際の事例もご紹介しながらお話します。
ヨーロッパ見本市における「こだわりの商談スペース」の特徴
ヨーロッパ見本市における「こだわりの商談スペース」の特徴をあげてみます。
・ミーティングセットのバリエーションが豊富
・バーカウンターの設置
・作り込んだラウンジ
■ミーティングセットのバリエーション
「見本市=商談の場」という意識が強いため、その大切な商談スペースに設置するミーティングセットにも、各社、豊富なバリエーションが見られるのが特徴です。
デザイン的な意味では、ブランドの世界観が伝わる演出やブランドイメージとの統一感など、洗練された「見せ方の上手さ」にはさすが感心させられます。
また、機能面では、(見た目だけでなく)ゆったりとした座り心地の良さも重視することで、「より深いレベルでの会話や関係構築」を意識していることが垣間見れます。
■バーカウンターの設置
日本ではあまり見られない光景ですが、ヨーロッパの見本市でよく見かけるのが「バーカウンター」です。商談後には、ここでアルコールやソフトドリンクを片手に談笑する姿もよく見られます。
こういったスペースは「おしゃべり好きでコミュニケーション上手なヨーロッパ人ならでは」と言えるかもしれません。
ヨーロッパでは「子供の学校行事」のような場であっても、バーカウンターが設置され、父兄はビールやワインを片手に参加することもあります。決して「不謹慎」といったイメージではないのでご安心ください。
■作り込んだラウンジ
「作り込んだラウンジ」というと「ブランドのイメージ強化」「競争優位性の確保」など戦略的な意味合いがイメージされがちですが、それだけではありません。
こちらのように、来訪者に自社ブランドのデザインに参加してもらうような「遊び心」が見られる例もあります。
なかなか座ってみる勇気は出ませんが、「来訪者にブースでの時間を楽しんでもらいたい」というホスピタリティは常に根底にあると言えそうです。
こだわりの商談スペース 事例
まるで休日に気の利いたカフェバーに来たかのような心地よさを感じさせるバーカウンターの例です。
植物とナチュラル素材のインテリアで統一感を出しつつも、自社サービスである「車両のスペアパーツ」を連想させる置物がさり気なく棚に飾られている演出が上手いですね。
落ち着いた色調のミーティングセットと間接照明で、ゆったりとした寛ぎ空間を演出しています。
ビジネス目的の来場者が急がしく行き交う見本市のホール内において、まるでここだけ切り取ったかのように、落ち着いた時の流れを感じさせるスペースになっています。
バンブーがオリエンタルな雰囲気を作る商談スペースです。
商談に集中できるよう高さのある目隠しの役割も果たしつつ、完全に空間を閉鎖はしない圧迫感を感じさせない造りに、商談への配慮と工夫が感じられます。
ミーティングセットのソファにヘッドライトがついている(しかも点灯している)というだけでもすでに十分な遊び心が感じられますが、実はブース全体の狙いとしては「路面電車に乗っている気分を味わえる」というコンセプトになっています。
よく見ると本物そっくりの検札機が設置されていたり、実際の車窓から見える景色の壁紙だったり・・と難しい商談も笑顔で進められそうなユニークな演出の例です。
自社商品(ペットボトルの炭酸水)を組み込んだデザインが印象的なブースの例です。 水が光を反射するこを上手く利用した、幻想的な光の演出が一際、来場者の目を引いていました
ブース内にここまで本格的なバーラウンジを設置するのは珍しい例です。
ソファの背もたれを高く設計することで、会場内を行き交う人の目を気にせず商談に集中できる閉鎖的な空間づくりをしています。