ヨーロッパ見本市を見ていると、ブース内の「商談スペースへの拘り」が特徴的だと感じます。
実は、海外での見本市出展において、世界中の企業が「商談スペースに拘る」には明確な理由があります。
今回は「ヨーロッパ見本市に出店するなら商談スペースに拘ってほしい理由」を、実際の世界の企業の実例とともにご紹介します。
ヨーロッパ見本市で世界の企業が「商談スペースに拘る」理由
ヨーロッパ見本市で世界中の企業が「商談スペースに拘る」理由は、「見本市のその場で商談成立させたいと考えている」からです。
日本国内での見本市への参加との大きな違いとして、世界規模の展示会は、出展企業同志や来場しているバイヤーの本拠地が遠いという問題があります。当然、「詳細は後日、改めて貴社に訪問させていただいた折に・・・」といった日本国内では当たり前のやり取りは、ほとんどのケースで現実的でないと言えます。
そのため、ブース内のコミュニケーションスペースである商談スペースは、「このチャンスに商談を持って帰れるか否か」を左右する大切な場所となります。
また、注意したいのは、競合他社のブースも同様に「展示会のその場で商談を成立させるつもり」という意気込みで参加しているという点です。
「後日メールにて...」「改めて商談ミーティングでも...」と呑気なことを言っていると、他社に成約をもっていかれてしまうかもしれません。
加えてヨーロッパ人は、普段から会話でコミュニケーションを取ることを大切にする傾向にあります。ビジネスの現場でも、商談を成立させるかどうかの手応えは、会話でのやり取りの中にあると考えるのが一般的です。
また、日本での名刺交換はアイスブレイク的に、商談が始まる前に行われることも多いですが、ヨーロッパでの名刺の交換は「会話でのコミュケーションが十分に(良好に)取れた先」にあるイメージです。
※逆に言えば 、コミュニケーションの最後に名刺の交換があったということは、検討に値する商談ができたとも言えるかもしれませんね。
名刺を100枚交換できるよりも、カタログを1000部配れるよりも、1件の商談を獲得したいというのは世界中の企業の共通認識。成果はあくまでも「商談の獲得数」と考えると、見本市における商談スペースがいかに大切かをお分かりいただけるのではないかと思います。
事例
ここからは、実際にヨーロッパの見本市で取り入れられている商談スペースの作り方を写真とともにご紹介します。
見本市のブース内であることを忘れさせるような、「オフィスの1室」さながらの雰囲気を作った例です。落ち着いたトーンのインテリアと、テーブル同士の間に適度な距離を確保することで、商談に集中できる空間が作られています。
自社のイメージカラーにインテリアを合わせることで、ブースの雰囲気に馴染む商談スペースを作った例です。よくみるとテーブルの上にフルーツやお花を飾っています。「白いインテリア×赤いリンゴ」でこの会社のロゴカラーに合わせる演出がヨーロッパ的なセンスと言えるかもしれません。
先程ご説明した通り、出展企業やバイヤーの本拠地が遠いことが多いヨーロッパ見本市では、このように商談スペースは欠かせないスペースとして拘りをもって作られます。
実際、見本市会場では、写真の例のように談笑や活発な商談のコミュニケーションの場として活用されているシーンを多く目にします。