今回は、ヨーロッパの見本市で多く見かける展示手法の「天吊り」についてお話します。
実際、ヨーロッパの大型の見本市に参加しても、特に技術系の見本市では会場全体の半分以上の面積で、この「天吊り」の手法を取り入れているという印象でした。
ただこの手法、施工準備期間の短い、そして地震の多い日本の国内展示会では、運営の意味でも安全性の意味でも、なかなか実現するのが難しい方法でもあります。
そこで、この記事では、日本国内の展示会では見ることが少ない「天吊り」の効果的な使い方について、実際のヨーロッパ見本市での最新事例を交えながらご紹介します。
ヨーロッパ見本市で多く見られる「天吊り」とは
「天吊り」とは、展示ホールの天井から、ワイヤーでブース部材を吊る手法のことです。
写真でもご覧いただけるように、ブース内の空間を開放的に、広く有効利用できるのが特徴です。
また、ワイヤーの長さを調整することで「空間の高さを演出する」、ワイヤーの本数を増やすことで「重量のある商品を吊り下げる」など展示方法にバリエーションを持たせることができます。
「天吊り」の効果いろいろ
次に、「天吊り」で得られる効果を以下にまとめます。
①狭いブースも広く見せられる
②明るいブースが作れる
③ブース視認性UP、またデザイン演出もできる
■①狭いブースも広く見せられる
「確保したブースが手狭。展示物を設置すると窮屈な印象になる……」といった場合、天吊りを取り入れることでブースをより広く見せることができます。
(ブースの面積を拡張することは難しい分、体積の拡張で広げるイメージです)
また、ディスプレイ棚や柱がなくなることで、見せたい物だけを、より際立たせて見せることができるのも特徴です。
■②明るいブースが作れる
一般的にブースに照明を設置しようとした場合、壁面に設置した照明から光を当てることになります。当然、光は斜めから当たるので、ブース中央に設置した展示物に十分な光が届かないことがあります。
「天吊り」はブース内のどこにでも照明を設置できるので、(例えブース中央であっても)真上から明るい光を当てることができます。
■③ブース視認性UP、またデザイン演出もできる
欧州見本市の特徴として「ブースに展示品をただ陳列する」だけでなく「ブースを芸術的に、スタイリッシュに見せる」のが上手いと感じます。
このように、まるで美術作品のインスタレーションさながらに「デザイン的に美しく、モダンな雰囲気」を演出できるのも天吊りならではと言えます。
この写真のブースは、近くを通りかかっただけの来場者も思わず中に引き込む、ひと際「演出の上手い」例でした。
■天吊りの注意点
このように、ブース設営においてはメリットの多い「天吊り」ですが、同時に気をつけたいのは「インテリアとのバランス(調和)」です。
スタイリッシュな演出が可能な反面、インテリアのセレクトによっては「無機質」な印象を与えてしまうこともあります。
また、取付や施工には専門的な技術や知識が必要なため、出展申し込みの際の「提出書類が複雑になる」「細かい設置の規約を理解する必要がある」といった点も注意が必要です。
天吊りを効果的に使った実際のブース例
ここからは、実際の展示会ではどのような「天吊り」の手法が使われているのかを、事例とともにご紹介します。
コロナ禍でなかなか現地には足を運べないご時世ですが、NOIと一緒にヨーロッパ展示会を見聞している気分を少しでもお届けできますと幸いです。
自社商品である留め具(ネジ)をシンボリックに吊ることで、遠目にも「自社商品」「社名」が目に飛び込んできます。
LED画面を天井から吊ったデザイン。自然な曲線を描いたLED画面を吊ることで、より開放的な空間の広がりを感じられます。
壁を無くした空間に、敢えて無機質で近未来的なデザインを施すことで、「ラボ」のような清潔感を演出したブースです。
最後は、天吊りの自由度を上手く利用して「ワインフェスティバル」さながらに、賑やかに吊り下げたブースです。
海外の展示会では、このように天吊りを上手く利用した「印象的」で「ちょっぴり遊び心のある」ブースをたくさん見かけます。
コロナによる規制も世界的に収束傾向な中、これから海外展開に向けて見本出展をご検討の方は、ぜひご参考ください。